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社長のひとりごと

ひとりごとの前に…

こちらでは、株式会社アイズ・レザー社長、わたくし「伊澤」が日ごろ感じていること、思っていること、伝えたいことなどを不定期に”ブツブツ”と「ひとりごと」する場所です。
たまには皆様のお役に立てるかも知れませんし、そうでないかも。。。
ご興味ある方は是非、斜め読みから始めてみては如何でしょうか?

「鞣しって?」…悩んでます編

はじめに…

よくある質問のひとつで「この革はクロム?植物タンニン?合成タンニン?」と聞かれる事があるのですが、正直、回答に困ってしまう事があります。
何故なら、その全ての鞣剤がその革には使用されている事があるからです。

ここでは、あくまでも伊澤本人がタンナー経験で培った事と書籍情報、現在協力して頂いているタンナーさんとのやりとりで得た鞣しの情報をタイトル通り、ひとりごとのように語りたいと思います。
長文ではありますが、ご興味のある方は最後までお付き合い頂ければ幸いです。

最近では、「この革はヌメ?フルタン?(植物タンニンのみ?)」と聞かれた時も困ってしまう事があります。
まず、よく使われている「ヌメ」という言い方は、タンナーさんでは鞣しも加脂も途中段階で染色せず乾燥して保管されている状態の革の事なのです。ヌメ屋さんと言われる革屋さんの多くは、その状態の「ヌメ」をタンナーさんから買って革の染色加工場さんでタイコ染色・加脂や仕上げ等をして販売されている事が多いのです。
また、「フルタン」と言いましても・・・前鞣しやその前の準備鞣しと言われる工程や再鞣しなどで「合成タンニン」(以下、合成タン)を補助剤的に使用したりする事が多いので「フルタンとは?」と逆に聞きたくなってしまうからです。

なんだか愚痴みたいになっていますね・・・
あまり深く考えずにライトな回答が出来れば良いのですが・・・

少しだけ深く鞣しについて触れてみますと

まず、鞣しの種類については、古くから俗に「クロム鞣し(金属系)」や「タンニン鞣し(植物系)」と大きく2種類の分け方をされる事が多いのですが、それは鞣剤の種類がほぼ「クロム鞣剤」と「植物タンニン鞣剤」であり、それぞれの鞣剤のみで鞣しをしていた時の言い方を今もしているからです。
しかし、近年では鞣しの手法も多種多様となり、鞣し技術や薬剤(特に合成タン)等の向上もあり、「コンビネーション鞣し」(以下、コンビ鞣し)と言われている2回以上の鞣し工程(前鞣し→本鞣し→再鞣し など)で2種類以上の鞣剤を使用する手法が主流になっています。
古くからの「クロム鞣し」や「タンニン鞣し」といった分け方を近年での「コンビ鞣し」に単純に置き換えてみますと

以下一例です。
鞣しの種類
と言った感じになると思います。

よく聞く「コンビ鞣し」の代表的な手法としては、前鞣し「クロム」本鞣し「植物タンニン」といった手法が多いのですが、「クロム」量の多い少ないや「植物タンニン」量の多い少ないなどの配合バランスを変える事で革の特性も大きく変わってきます。
さらに、近年では「合成タン」の多種化や性能向上が著しく、前鞣し・本鞣し・再鞣しをすべて「合成タン」で行う手法や、前鞣し「クロム」本鞣し「植物タンニン」再鞣しを「合成タン」など多種多様な鞣しの手法もあります。
使用する薬剤や配分等は各タンナーさんによって様々で、それぞれの求める特性や経験則によって革に違いを出しています。

また、よく好まれる主に植物タンニン剤を使用する鞣しでは、合成タン・合成鞣剤または金属系(アルミニウム・ジルコニウム等)で前鞣しをして植物タンニン剤による本鞣しを行う手法が主流です。
前鞣しをする目的としては、本鞣しでの鞣しの均一性を高める事と本鞣し剤との結合性を高める事です。その目的に適しているのが、高い鞣し力と高い耐熱性・耐久性がある合成タン・合成鞣剤で、これらにも微量の金属系鞣剤を含む薬剤が多く存在しています。

また、タンニンによるシミ等を除去する為に漂白用合成タン剤を使用したり、本鞣し後の洗い等による脱鞣剤の補助・再鞣しとして合成タン・合成鞣剤を使用する場合もあります。

合成タン・合成鞣剤とは、元々は植物タンニン剤の代替として開発され、現在では前鞣しや再鞣しの補助剤としての使用も多く非常に広範な化学構造を持つ多数の物質で構成されています。

とこんな感じで回答されたら、何が何だか分からなくなってきますよね。
タンナーさんからは、「まだまだ触り程度だな」と言われそうですが・・・
「コンビ鞣し」が主流になっている事を理解してから良い回答方法(分け方)がないものかと、ここ何年か考えているのですが・・・
まずは、ほとんどの皮革が「コンビ鞣し」になる。と分かって頂けたら・・・と思っています。
そして近年では、技術・薬品の向上によって多様化している「鞣し」の種類は、
前鞣し「クロム少ない」本鞣し「植物タンニン多い」などでしたら、含まれている鞣剤の量が多く本鞣しに使用されているという事で「ほぼ植物タンニン」とか「植物タンニン系」と言った曖昧な表現方法しか無いのかなぁ?
なんて曖昧な結論しか見い出せていません・・・まだまだ未熟者です。

最後まで社長のひとりごとにお付き合いいただき、有難うございました。
後記:
本文は、あくまでも伊澤本人がタンナー経験で培った事と書籍情報、現在協力して頂いているタンナーさんとのやりとりで得た情報となり、全タンナーさんの情報ではない事はご了承おき下さい。
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